【FOAMSTARS】30時間プレイレビュー 逆境を弾き飛ばせ!新たなジャンルを確立し得る、期待以上に高クオリティな”アワ”パーティーシューター♪

ゲームレビュー

「FOAMSTARS」は開発段階では筋違いな批判を集め、逆境とも言える状態にあった。しかし、それを持ち前のアワで弾き飛ばせるくらい高クオリティで”Like”な作品になっている。

製品情報
製品名:FOAMSTARS
開発元:SQUARE ENIX
プラットフォーム:PS5

プレイ状況
プレイ時間:(β版を含めて)約30時間

この記事に含まれるネタバレ
特になし

“バスベガス”は最高に弾けた舞台

本作の舞台は”フォームスマッシュ”が盛んに開催されている”バスベガス”という街だ。フォームスマッシュとはアワで戦う新しいバトルエンターテインメントで、パーティのような楽しさとバトルとしてのアツさを併せ持ち、世界中の人々を熱狂させている。

https://twitter.com/foamstarsgameJP/status/1704994017459749096

数多くのフォームスマッシュの選手のなかで、人気と実力を兼ね備えたスター選手のことを”フォームスター”と呼ぶ。どのフォームスターも凝ったキャラクターデザインをしており、それぞれ異なる武器やスキルを持っているため、お気に入りのフォームスターが見つかるはずだ。

本作にはPVPのほかに”ミッション”というコンテンツが用意されている。ミッションではバスベガスをアワまみれにしようと企む”シャボンモンスター”とバトルをすることで、操作方法や世界観、登場人物について知ることができる。

ミッションには1人で挑戦する”ソロミッション”とオートマッチングやフレンドと組んで4人で挑戦できる”スクアッドミッション”がある。

ソロミッションは簡単な操作方法を覚えるチュートリアルの場としても使えるほか、フォームスター同士の会話を聞くことで彼らがフォームスマッシュに参加した経緯などを知ることができる。

一方、スクアッドミッションには「NORMAL」と「HARD」の二種類の難易度がある。

シャボンモンスターは10種類ほど存在するが、どのモンスターも個性的で多様な攻撃をしてくるため、攻撃の回避方法や撃破するモンスターの優先順位などを理解し、そのうえで何度も挑戦してやっとクリアできるという、なかなか歯ごたえのある難易度になっている。

私は野良の方々の協力もあってリリース2日目にクリアできたが、その時点でのクリア率は驚異の0.2%であった。味方の「グレート・ジェッター」というフォームスターが非常に頼りになったため、なかなか勝てない方は使ってみよう。

ちなみに、ミッションをクリアできなくともエナジーストーンというアイテムを入手でき、これを使うとフォームスターのショットパワーを上昇させたり、スキルのクールタイムを短縮させたりすることができる。このように、トライすればするほどクリアしやすくなっていくローグライト的な要素もある。

 

カジュアルパーティシューター

続いて、本作のメインコンテンツである”フォームスマッシュ”について述べることにする。

フォームガンでアワを発射して相手のHPを削りきると相手を”フォームドアップ”という状態にでき、フォームドアップした相手にスライドボードで体当たりをすると”チル”(撃破)することができる。逆に、味方がフォームドアップされた場合はスライドキックをすると助けることができるというのも画期的だ。

また、アワがフィールドに着弾すると地面が盛り上がって地形が立体的に変化する。真正面から敵と撃ち合いに行くもよし、アワ盛りで有利な地形を作ってじっくり攻めるのもよし。相手をどのようにフォームドアップするかはプレイヤー次第だ。

このように、撃ち合いに負けても味方に助けてもらえたり、撃ち合いが苦手でもアワ盛りで味方をサポートできたりするという仕様により、他のシューティングゲームと比べると撃ち合いに負けてしまうことの重みが大きくないことが特徴的だ。

そのため、シューティングゲームに慣れていない方でもカジュアルに楽しむことができ、これがアワ”パーティ”シューターと呼ばれる所以でもあるだろう。

また、バトルのルールも画期的だ。主なルールである”スマッシュ・ザ・スター”では相手チームのプレイヤーを計7回倒すと相手チームに”スタープレイヤー”が出現し、そのスタープレイヤーを先に倒したチームが勝利となる。

ここで重要なのは、スタープレイヤーにはチーム内で最も活躍していたプレイヤーが選ばれるという点だ。スタープレイヤーは倒されるとチームが敗北するという仕様から、慎重な立ち回りを求められ、言い換えると攻めにくくなる。そのため、撃ち合いや立ち回りが上手いプレイヤーが後ろに押し下げられ、もう一方のチームには逆転のチャンスが出てくるわけだ。

実際に、スタープレイヤーが出現するまでは圧倒的に押されていた試合でも、スタープレイヤーとして上手く立ち回ったり、スタープレイヤーになった味方をサポートしたおかげで逆転できた試合も多かった。

スマッシュ・ザ・スターの他にも、内野と外野に分かれて2vs2で戦う”ハッピー・バス・サバイバル”や、大きなアヒル型の乗り物に乗ってゴールを目指す”ラバー・ダック・パーティ”というルールもある。これからのアップデートで新たなルールが追加されることも予定されている。

また、バトルによって入手できる”バブルジェム”を使うと、ミッションと同様にフォームスターを強化することができる。強化内容としては「移動速度アップ」や「アワ盛り量アップ」、「リロード速度アップ」など計14種類も存在するため、自分の立ち回りに合ったバブルジェムをセットすることでプレイヤーごとに差別化を図ることができる。

 

ライブサービス byりっきー

https://hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail/72da7fd6d1302c0a159f6436d01e9eb0/

本作のディレクターを努める斉藤 力(通称 りっきー)氏は大人気MMORPG「ドラゴンクエストX」の元ディレクターだ。特に、りっきーが努めていた時期は約11年続く「ドラゴンクエストX」の中でも最盛期と言われることも多く、その手腕は確かなものだ。

本作はPlay Station+に加入していれば無料でダウンロード可能で、その後も基本プレイ無料のライブサービス型のゲームだ。個人的にはライブサービス型より買い切りの方が好みではあるものの、やはり本作のサービスはなかなか悪くない。(※3月以降は¥3.400でダウンロード専売予定)

https://blog.ja.playstation.com/2024/02/01/20240201-foamstars/

まず、本作は約1か月ごとに大型アップデートが行われることが予定されている。これだけの頻度でアップデートが行われること自体驚きだが、新たなフォームスターやシーズンパス、スキンはもちろん、新たなバトルのルールやミッションまで追加されたり、特別なバトルを楽しめるイベントが開催されたりと内容も充実している。

また、ユーザーの意見を取り入れることに非常に精力的で、Xではユーザーが楽しんでいるポストに返信したり、ユーザーが挙げた改善点を素早く取り入れてアップデートを行ったりと、作り手と遊び手の距離感が近い運営を行っているところにも好感を持てる。

シーズンパスの内容は他のライブサービス型ゲームと同様で、ランクを上げることでフォームスターやエモート、アイコンなどを入手できる。目安として最高ランクに到達するには10時間ほどかかるため、新しいシーズンで追加された要素を楽しみながらプレイしていると丁度良く到達できるボリュームになっている。

なお、Play Station Storeで「プレミアムパス(¥990 税込み)」を購入すると即座にバトルパスのアイテムを入手できる。シーズンパスの中にはプレミアムパス限定のアイテムがあり、自力でランクを上げても一部のアイテムは入手できないことには多少の不満が残るが、フォームスターのような重要な報酬はプレミアムパスを購入しなくても入手できるので安心だ。

β版の頃から気になっていた「AKIMBO AKINDO」という場所はショップであった。ここではシーズンパスでは入手できないスキンやエモートなどが販売されている。商品の価格はやや強気ではあるものの、今のところ期間限定の商品は1週間ほどで更新されており、数多くの商品が追加されていく予定なので楽しみだ。

また、条件を満たすことで課金せずに様々なスキンやエモートを手に入れることができる”チャレンジ”という要素もある。一部のチャレンジは週替わりで更新されるため、気になる報酬が続々と出てくるはずだ。

 

これは”Likeなゲーム” 

私はアナウンストレーラーが公開された段階で本作のリリースを非常に楽しみにしていた。その一方で、本作は任天堂が開発するアクションシューティングゲーム、「スプラトゥーン」と酷似しているという批判が相次いでいた。

個人的にはキャラクターデザインや頭身、ステージの広さや構造、武器や弾速、立体的な地形を活かせる要素など、十分な区別化ができているように思う。実際、それから数か月後にβ版が配信されると、実際にプレイした方からはスプラトゥーンとは全く別のゲームだという意見が多く寄せられていた。

似ている部分に目を向けてしまうと、然程似ていない部分も似ているように思えてきてしまうものだ。そんな勿体ない観察眼は捨てて、本作のオリジナリティ溢れる部分にも目を向けてみよう。

また、プロデューサーを努める岡谷 洸佑氏は「自分が撃ったものがフィールドに残るというシステムはすごくユニークだと思います。これがソウルライクやメトロイドヴァニアのように独自のジャンルになればとても光栄です。」と語っている。

「FOAMSTARS」はシューターゲームライクな新たなジャンルを確立し得るポテンシャルを持っていると同時に、私にとって好きな、”Like”なゲームであることに違いない。

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