【バイオハザードRE4】クリアレビュー 死を逸し、倒す快感 サバイバルホラーの完成形!

ゲームレビュー

プレイ状況
プレイ時間:30時間
やりこみ度合い:ストーリークリア(DLC含む)、マーセナリーズ全ステージSランク

この記事に含まれるネタバレ
ゲーム内のスクリーンショット

死を躱し、倒す快感

「死を躱(かわ)し、倒す快感」という本作のキャッチフレーズを初めて見たときは、あまりホラーゲームらしくないため作品にマッチしていないように感じた。

https://www.residentevil.com/re4/ja-jp/

また、「バイオハザードシリーズ」はシリーズ最恐と名高い「バイオハザード7」の体験版しかプレイしたことがなかったため、”めちゃくちゃに怖いゲーム”というイメージがあった。そのため、プレイし始めて間もない頃はどこからどんな敵が出てきてどう襲ってくるのかという、いわば”バイオハザードの怖がらせ方”がわからずおっかなびっくりしながら進めていた。

https://www.residentevil.com/re4/ja-jp/

しかし、本作の”怖がらせ役”は「ガナード」と呼ばれる村人で、彼らは「プラーグ」という寄生虫に寄生され、邪悪な教団を崇拝するようになってしまっているものの、元が人間なだけあって見た目はそこまで怖くない。しかも、常に独り言を喋っているため近づくとおおよその位置を把握することができ、ホラーゲームに慣れていなくても怖さを理由にゲームを断念することがなかったのは嬉しいところだ。

そして、数時間もプレイしていると本作は純粋なホラーゲームではないことに気が付いた。

メインウェポンとなる銃にはハンドガンやショットガン、ライフルなど様々なものがあるが、どれも一長一短で「この敵にはどの武器を使うのがよいだろうか。」と使い分けたり、敵を倒す順番を工夫したり、フィールドの仕掛けを有効活用したり、さらに言えばナイフを使って敵の攻撃を受け流すパリィが可能なため、ゲームを通して多彩なアクションを楽しめるようになっている。

今なら「死を躱し、倒す快感」というアクションゲームのようなキャッチフレーズこそ本作にふさわしい言葉選びだとつくづく思う。

 

ハラハラ ドキドキ たまにビクビク

前項でアクションについて触れたが、本作を語るうえではホラーとサバイバルも同じくらい無視できない要素だ。そのため、SIE(Sony Interactive Entertainment)の「THE LAST OF US」のようなサバイバルホラーゲームが好きな方には迷わずオススメできる。

サバイバルゲームの醍醐味と言えば、弾薬や回復などの限られた資源を切り盛りするところにあるのではないろうだろうか。

私はバイオハザードシリーズは(ほぼ)未経験であると言ったが、歯ごたえのある冒険は譲れないので難易度は「STANDARD」を選択した。その結果、序盤から終盤まで資源の数が非常にうまく調整されており、弾薬や回復が余り過ぎてヌルく感じることもなければ、長いこと資源不足に苦しむこともなかった。考えて立ち回らないと資源が尽きてしまうというハラハラ感をここまで感じさせてくれるのはさすがの一言だ。

ではホラーゲームとしての要素が弱いかと言われるとそういうわけでもない。

物語の中盤では、本作の救出対象である大統領の娘”アシュリー”を操作するチャプターがある。世界には日々格闘に明け暮れる石油王の娘などもいるが、通常、大統領の娘は戦闘に長けてはいない。

Lili(リリ)
格闘ゲーム「鉄拳」に登場する石油王の娘であり、闘うことが大好きなお嬢様。平和を愛する父にばれぬよう、自家用ジェットで世界中を回り、強敵に挑んで技に磨きをかけている。

画像はhttps://tk8.tekken-official.jp/character/?chara=liliより。

そのため、カンテラ(石油ランプ)を片手に暗い城を探索することになるのだが、攻撃手段が限られた当チャプターはビクビクしながら進めた覚えがある。

また、原作のトラウマとして扱われる難敵”リヘナラドール”も登場する。リヘナラドールは相対する場面も不気味な場所で、初遭遇時は倒す方法が分からないため、恐ろしい敵から逃げ回るという王道なホラー体験を楽しませてくれた。

アシュリーパートにしてもリヘナラドールにしても、敵への対抗策が乏しいという事実は恐怖を増幅させるのだろう。ホラーな展開を求めるプレイヤーにも飽きさせないゲームになっている。

 

ご利用は無計画に

不気味な化け物が巣くうバイオハザードの世界でも、紫色の炎が見えたら安堵のため息が出る。

紫色の炎は武器商人がいる目印なのだ。気さくな彼らに話しかけると「ご利用は無計画に」という口癖とともにご自慢の武器やアイテムを取引させてくれる。「DARK SOULS」シリーズの篝火のように、緊張感を売りにするゲームであっても一息できる場所は必要だと思う。安心できる場所があるからこそ、暗い道を進むことができるものだ。

良い意味でため息が出ると言えば、オブジェクトの凝り具合にも感嘆のため息がもれる。特に物語の中盤で訪れることになる古城では、ここが敵地であることを忘れて見惚れてしまうような装飾品があちこちに飾られている。

これらの装飾の多くはただ単に飾られているだけの物だと思うが、バイオハザードはいくつかのナンバリング同士が関わっているほどストーリーが練られたシリーズであるため、ストーリーや世界観の考察の材料になる絵画や彫刻があるかもしれないと思うと作り込みに感服せざるを得ない。

 

このDLCは目が肥える

本作には「SEPARATE WAYS」というDLCが配信されている。本編の各所でレオンを助けてくれた謎多き女”エイダ”がプレイアブルキャラクターとなり、レオンとアシュリーが敵対する”ロス・イルミナドス教団”に翻弄されている間、エイダがどのような行動をとっていたのかという物語が描かれる。

https://steamcommunity.com/sharedfiles/filedetails/?id=488707071

最近のゲームの中には、本来であれば本編に入っているべき内容をDLCとして配信し批判を受ける作品も少なくない。本編でストーリーが綺麗に完結し、それでいて矛盾が生じない程度に伏線を残しておき、それをDLCで綺麗に回収するというのが理想だが、予算的にも技術的にも至難の業であることは素人目でもわかることだ。

しかし、「SEPARATE WAYS」はそれをやってのけている。本編をプレイしている際は大きな違和感を感じることもなく、それでいてDLCで本編の裏側を知ると「今思えば確かにこの展開は出来すぎていたけれど、裏ではこういうことが起こっていたのか。」という納得と感動の嵐だ。

また、DLCでも本編と同様「死を躱し、倒す快感」を体験できるわけだが、エイダが主人公となることでより一層アクションに磨きがかかっている。エイダは”フックショット”というアクションを使用することで、オブジェクトにフックをかけることで高所へと瞬時に移動できたり、体勢を崩した敵にフックをかけることで離れた位置からメレー(銃攻撃によりよろけている敵への強攻撃)を決めることもできる。

原作を知っている方なら印象に残っているであろうあの場面も再現されており、何よりエイダが好きなプレイヤーにとってはこれ以上ないDLCになるはずだ。

極めつけは配信価格で、これほど完成度が高いにもかかわらず1000円で購入可能だ。洗練されたストーリーと、よりスタイリッシュになったアクションによりプレイヤーの目が肥えてしまうほど完璧なDLCと言えるだろう。ゲームの購入は無計画に。ぜひバイオハザードの世界に足を踏み入れてみてほしい。

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